衝動
一番最初の記事で予告じみたことを言っていましたが、
今日はその小説です。短いです。拙いです。それでも良ければ読んでください。
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多くの人で賑わう夜の歓楽街。煌々とネオンが輝いている。やはりここは苦手だ。そう思いながらも、早く家に帰りたかった私は、近道をするためにやむなくそこを通ることにした。すると、見るからに安そうなスーツを身に纏い、髪を明るく染めた一人の若い男がニコニコしながら近づいてきた。
「今夜、ウチでどうですか?いいの、揃ってますよ?」
なるほど。身の丈ほどの大きなコートを身に纏い、ニット帽を目深にかぶった私がどうやら男に見えたらしい。こんな不審な人間によく声が掛けられるな。そう思いながら私は煩わしそうに答えた。
「あの、私、女なんですけど。」
男は一瞬目を大きくしたが、何事もなかったかのように続けた。
「そんなのわかってますよ~!でないと声なんて掛けませんって!」
面倒くさいな。そう思った私はこう答えた。
「私、そういうの興味ないんで。」
男は狼狽える素振りも見せず、言葉を続ける。
「皆さん最初はそうおっしゃるんです!でも、一度ウチの店来た方は皆さんもれなくリピーターになってくれてます!ぜひどうですか?」
そこまで言われると逆に興味が湧いてくるが、そんなことより私は早く家に帰りたい。やむなくこう言った。
「じゃあ、もう面倒くさいんですぐに終わるやつにしてください。どのくらい時間かかりますか?」
男は目を輝かせた。
「ほ、本当ですか!?五分もあれば十分楽しめます!ど、どうぞ!こちらです!」
そう言いながら男は私を案内する。歓楽街から一つ筋を入ったようだが、興味がなかった私は、そんなに早く済むのか、などと考えながら男についていった。
薄暗い路地を少し歩くと、とある古そうなビルに着いた。男が言った。
「ちょっと準備させるんで、待っててください!」
何の準備だろうと思ったが、早く帰れるなら何でもいい。一分も経たないうちに男がドアから出てきた。
「どうぞ!お入りください!入口は暗くなってるんで気を付けてくださいね!」
そう言われたので恐る恐る入る。後ろで重そうなドアが閉まり、部屋の電気がついた。私は言葉を失った。
「貴女もこうなるんですよ?」
耳元で聞こえていた男の声が遠のき、気が付くと頭部を失った自分の体を見上げていた。
「——これでまた一つ、僕のコレクションが増えた。」
そういうと男は首から下の部分を始末して、床に転がっている首を拾った。まだ赤い血が流れ落ちている。男は恍惚の表情を浮かべながら、同じような首が並べられているガラス製の棚にそれを並べて置いた。
「まだ足りないなあ。」
そう呟いて男は血が付いたスーツを着替え、また賑やかな歓楽街へと消えていった。
※この物語はフィクションです。
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私が書く小説は大抵こんな感じです。
もっと鳥肌が立つようなサイコ野郎が登場する話もあります。
ご要望があれば、もっとポップな話も書きますが、
私はこういうゾワッとする話が好きなのでそればっかり書きます。
別の話が読みたければ催促してください(笑)